2010年7月21日水曜日

7月16日 ジョブズの世界一の言い訳

平です。

アメリカではiPhone4の電波が悪いと、
ボロクソにけなされているようですが、

それについてアップルが謝罪会見を開きましたね。

それに関する記事と、会見の内容を私の英語の先生
美人のミキ先生に細かく訳してもらいました。

かなり長いですがご覧ください。
非常に興味深いです。

会見映像



(日本語記事)「米アップル「iPhone 4」の
電波受信感度が低下する問題で、
同社のスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)
は16日、受信問題を解決するための専用ケースを
iPhone 4ユーザー全員に無償で提供すると発表した。

すでにケースを購入した人は返金を受けられるという。
無料ケースは9月30日までアップルストアで配布される。

iPhone 4は6月24日のリリース以来の累積販売台数が
300万台に達し、アップル史上最も成功した製品となった。

しかし、発売のわずか数時間後に受信問題が表面化し始めた。
アナリストらは、iPhone 4側面の金属部分を握ると
受信感度が低下し、時々、通信が途切れることを突き止めた。

原因はiPhone 4のデザインにあった。
同機は本体を薄くするためにアンテナが金属帯部分
に組み込まれているのだ。 

12日には、米国で強い影響力を持つ
「コンシューマー・リポート」誌が
iPhone 4の受信問題を確認した上で
「(消費者に)推奨できない」と結論づけた。

ジョブス氏は16日に会見を開き、どの携帯電話のアンテナにも
問題はあると指摘した上で、他のスマートフォンで発生した同様の
受信問題に関するビデオを上映した。

ジョブス氏によると、iPhone 4の返品率は
前世代のiPhone 3GSよりも低く、また通話が途切れる回数も
3GSより多いものの差はごくわずかだという。

ジョブス氏は「われわれは完ぺきではない。電話も完ぺきはない」
とした上で、「われわれはユーザー一人一人を大切にしている」とし、
「すべてのユーザーに満足してもらえるまで努力を続ける」と語った。」 

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7月16日の会見の模様


まずは内容の簡単な概略から説明すると

How many additional calls are dropped
per every 100 calls you make on I-phone
4 compared to 3 GS

まず100回のコール(電話)に対して、I phone 4は、
3GSと比べてどれだけ余分に(追加して)受信が途切れるか。

I can tell since we are totally transparent… 
私たちは完全に何も隠していないので、お話できます。
(何も隠していることはないというコメントから切り出す)

4のアンテナは、3GSのものよりも優れたものだと
私たちは信じています。

そして、4は100回のコールに対して3GSよりも
受信が途切れることも皆様に報告いたします。ただこの時点で、
あなたは「恐らく100回のうち、50回、
もしくは25回も途切れると思っているのでしょう?」

This is the hard data.
I-phone 4 drops less than one additional
call per 100 than I-phone 3 Gs.

これは確かなデータです。途切れるのは事実ですが、
4は3GSに対して、100回のコールのうち、余分に(追加で)
1回以下途切れるだけです。
(補足説明:例えば100回のコールの内、
3GSが20回落ちるとすると、
4の場合は21回以下ということです)。

Less than one additional call per 100.
100回に対して余分に1回以下です。
(短くキーワードを強調)

Even less than 1 is too much for us,
we want to find out why。。。(省略)。。。。
私たちにとっては、1回でさえ辛すぎることです。
その理由を私たちは知りたい。。(省略)。。

これは、私たちが正しい角度から(この件について)
見直すきかっけとなっています。私自身の持論ですが、
その証拠はありません、しかしあなたに提供いたします。

(上から目線ではなく、問題が生まれたからアップルは、
再度正しい角度から見直すことをしていますという
逃げ腰ではない表現をしている(印象を受ける))


そしてここからは、彼の持論なので要約して記します。
「3GSが発売された時は、3と同じデザインであったので
(すなわち、デザインが変わらなかったので)

もちろん3GSに適合するケースもすでに店頭に並んでいました。
3GS(私たちの店で)の80 % のユーザーが、
ケースを買って問題なく店を出て行きました。

4は、新しいデザイン。古いケースは適合しなかったし、
新しいケースも準備が整っていなかった。
今現在、十分なバンパーケースも作る事が出来ないこと。。。。等

Less than 1 additional
call drop per 100 calls over 3GS.
(またまた強調)

3GSと比べて、100回のコールのうち余分で途切れるのは1回以下。

どのスマートフォンも弱点を持っています。
私たちがテストをしたほとんどのスマートフォンも、
同じような状態を示しています。

そしてI phoneを持っているおよそ1%半分の人が、
この受信問題に関することで、電話をアップルにしています。
たった0.55%です。非常に低い数です。

返品率は、3GSの3分の1です。そして受信が落ちる(途切れる)
可能性は、3GSに比べて、追加で1です。

(0.55など数字を使うことで、
それがどれだけ「低い」のかを強調している表現)


このデータを見てみると、
問題があるという結論から逃げることはとても難しいですが、
(問題があることを認めつつも、
それは非常に小さいパーセントであること)

しかしこの問題は、とても小さいパーセントのユーザーを
影響しているということです。私自身は、
5000を越えるメールをもらって、4がどれだけ完全に機能していて、
一体この騒ぎは何なのか分からないというコメントを
たくさんいただきました。

問題があるということを、私たちは理解していますが、
とても少人数を影響しているものだと考えています。

そして、その問題はどのスマートフォンにも内在
しているものだとも思います。

We care about every user. And we aren’t going to stop
until every one of them is happy. But I think it’s
important to understand the scope of the problem 。。。。

this is blown so out of proportion, its’ incredible.
I know it’s fun to have a story but less fun when you
are on the other end of it.

私たちは、全てのユーザーの方々を大切に思います
(お客様を大切にしていることのアピール)。
そして全員を幸せにするまで、私たちはやめません。

しかし、この問題のスコープを理解することは重要です。。。

これは大げさに言って広めているのです(プレスが)。

ストーリを持つ事は、楽しいですが、
その向こう側にいるものにとっては楽しいことではありません。

(つまりプレス側にとっては、かっこうのネタなので面白がって
書いていますが、ネタの「源」となる私たちにとっては、
面白いことではないという意味)。


We care about every user.
私たちは全てのユーザーを大切に思っています。(再度強調)

そしてこれから行う事を簡単に説明。

次に、バンパーがシグナル強度の問題を
解決してくれるとたくさんの人が言ってくれまた。
ケースを皆さんにあげたらどうですか?と。OK。そうですね。
みなさんにケースをあげましょう。私たちは、
ここに無料のケースを差し上げます。

(いろいろな方のアドバイスも、私たちは聞いています(
のアピールかな?))

I phoneユーザーは、みんな無料ケースがもらえます。
もし、バンパーを買ってしまった人は、パンバーの返金をします。

これは9月30日まで続きます。
9月までは私たちは検証を続けて、こ
のまま続行するかまたはより良いアイデアを見つけるかもしれません。

少なくとも9月30日までは、誰もが無料ケースをもらえます。
バンパーを買ってしまった場合は、全額返金いたします。

Now, everything in life is more complicated
than it seems on the surface.
人生において全ては、表面でそう見えるよりも複雑です
(ちょっと心理的なコメント)。

みなさんに無料ケースを送りますが、
十分なバンパーを作ることはできません。

よって、これから行うことは、他のケースを探すことで、
ユーザーはケースを選択できます。そしてあなたが一つ選んで、
来週からウェッブサイトでそれに応募できます。。。

Pick a case and we will send it off to you. That simple.
ケースを選んでください、そして私たちはそのケースを送ります。
それだけ簡単です。

(あえてこの言葉を使うことで、大事件がおきたわけではなく、
シンプルなことなんですよというイメージを伝えたいかのような
「言葉の振り方」を彼は何度もしています)

So free case of every I phone 4 users. Simple.
4のユーザー全員に無料のケース。シンプルです。

そして、無料ケースを受け取る前であれ後であれ、
まだあなたがハッピーでない場合は、ダメージを受けていない状態で
30日以内に持ってきてください。全額返金いたします。完全な返金です。

We are going to take care of everyone. We want every
user to be happy and if we can’t make them happy
we will give a full refund.

みなさん一人一人の面倒を見ます(全員に対応させていただきます)。
一人一人、つまり全員に幸せになっていただきたいのです。

もし幸せにできないのであれば、全額を返金します。
(キーワードとなる言葉は、声を高めて何度も強調)


We’re not perfect. We know that you know that.
Phones are not perfect. But we wanna make
all of our users happy.

私たちは、完全ではありません。私たち自身も知っていますし、
あなたがたも知っています。電話だって完璧ではありません、

しかし私たちはユーザー全員を幸せにしたいのです。
(人間としての特性のコメントも加えている)


これは人間の本質 (human nature) かもしれませんが、
誰か、またはある組織が成功するようになると、必ず誰かが、
彼らの成功をひきずり落とそうとする人がいます。

それがグーグルにも起こっています。
いろいろな人がグーグルをひきずり落とそうとしています。

なぜそのようなことをするのでしょう?
グーグルは素晴らしい会社です。
そして、私たちをひきずり落とそうとしている人々がいます。

彼らは一体何が目的なのでしょう?私たちがアメリカではなく、
韓国の会社だったら満足だったのでしょうか?

私たちがこのアメリカの地で新しい技術を革新していて、
世界をリードしているという事実が好きではないのでしょうか? 
なぜこのような事態が起こっているのでしょうか?


もちろん私たちは人間であって、間違いをおかします。
これからも常にそうです。


アップルは34年間続いていることで、私たちは、
みなさんの信頼と信用を得てもいいはずです。

私たちは自信があって、そして何か問題があれば解決し、
そしてユーザーに対応することができる会社であることを
信じてくれてもよいはずです。

あまりにも全ての事が(少しの問題が大きく取り立てられていて)
大げさに広まりすぎています。
私たちに欠点はないといっているのではありません。。。。(省略)

全てのスマートフォンに弱点があることを全員が知らなかったこと
を私たちは理解していませんでした。。。。(省略)

ほとんどのI phone 4のユーザーは、今まで持った中で一番
「クール(いけてる)」なものだというコメントを
何千というメールで送ってくれました。
そして問題に直面しているお客様に対しては、私は謝りました。

We are going to do whatever we can to make them happy
and if can’t make them happy, we are going to give a
full refund and say we’re sorry that
we inconvenienced you.

Maybe another phone makes better for you. We will try
harder to win back yoru business next time.

皆さんを幸せにするために、出来る限りの事をするつもりです。
もしそうできない場合は、全額返金をして、
このような不都合が生じて申し訳ないと謝ります。

そして他のフォン(携帯電話)のほうがあなたにとっては、
いいのかしれません。

今後、私たちは、あなたとのビジネスを取り戻すために
さらに一生懸命トライします。
(このコメントは、個人的に素晴らしいと思うのですが)

投資家の方には、アップルを長いスパンにおいて(長期にわたって)、
今瞬時に流れた一つニュースに影響されるのではなく、
会社が持つキャラクターに投資していただきたい。

現在ストックを買って、5ドルほど落ちてしまった投資家の方々には、
私たちは謝罪はありません。

なぜなら、私は、あなたがアップルに投資している理由は、
私たちを長いスパンで革新を続け、優れた商品を生み出し
続けることを信用してくれていることを望んでいるからです。

We have bumps on the road, just like having a kid.
歩いている道は平らではありません。
(つまり段差があったり、石があったり滑らかではないこと)
それは、まるで子供を育てるようなものです。

(良いときもあれば悪いときもあるのは、
「成長」しているものにとって、
当たり前に起こるプロセスであることのコメント)

これを取りまくプレスは、恐らく誰もが完璧であると
思っていたのでしょう。

そしてこれは、私たちが完璧でない事をあらわした例であり、
まさに彼らが飛びつくネタですよね。

私たちは完璧ではありません。これは断固として申し上げます。
私たちはお客様に提供するために一生懸命働いていますが、
と同時に人間であり、間違いを時として犯します。

We don’t know everything but we figure out fast
and take care of customers. That is why we have
the best and most loyal customers in the world 。。。。

私たちは、全てを知っているわけではありません。
しかし、早くそれを理解して解明し、お客様に対応します。

その理由で、私たちは世界中に、最高かつ最も忠誠心のある
お客様を持っている証拠です。


・この会見のどこが良いのか

まず、彼はアップル(自社)の価値観を
下げるようなことは一切いっていない。

つまり問題に関しては「私たちは画期的な、
革新的な発展」をしている」

中で起こりうることで、そして問題が起こったら、
すばやく対処していくという自信をみせている。

間違いから逃げず、対処するその速さ、
バリエーションに重点を置く。

そしていつもお客様のことを考えて
行動していることを強調。

日本の場合問題があったら、全面的に謝罪をする
イメージがあるが、彼の場合、「問題」においてのみフォーカスし、
それによって信頼を失うのではなく、
長期的な発展の中で間違いは人間として起こってしまう
ことだと説明していること。

プレゼンを行うときに、ほとんど後ろを見ない
(これは常に彼のすごいところで)
観客に絶対「背中」をむけたプレゼンをしない。

まず対処法を1種類でなく、数種類提供し、
あらゆるお客様層の解決策に対応するように考えていること。
そして、それでもハッピーになってもらえない場合は、

「全額返品」。または他者を使用してもらうことも
あるだろうと指摘。

しかし、これは逆に「それだけ自信を持って作っている姿」
であるからという印象もかもしだす。

・何をみならったらよいのか。
間違えてしまったという喪失感がない(笑)。

(上記でも述べたが)会社の価値を絶対下げていない。
問題はきちんと対処することを何度も強調している。

そして「一度のミス」「一度の間違い」でアップルに対して
のイメージを決め付けてしまうのではなく、

その間違いによってこれからもっと努力する
私たちの姿を見て欲しいという
スピーチであったことは、素晴らしいと思う。

そして、プレスはフェアではないと「強い」態度も見せることで、
アップルの「強さ」を垣間見る。

つまり「ユーザーの方には、
使っていただいたらそのすごさが分かる」。

プレスは、ただ成功者を落とそうとして、
大げさに言っているだけだと
「もの応じせず」堂々と立ち向かっている点。
(頼もしい姿とも見受けれる)

表現方法としては、謝罪の語彙やセンテンスが少なく、
逆に問題に対する「解決への意思」を促す言葉が多い。

大切な言葉は何度も繰り返す
(お客様全員を幸せにしたい、間違いはプロセスの一部など)
そして、人間的特性の理解も促しながら
(人生の道は平らではないことなど)をする)一度何か起こったことで
「全てを判断」するのではなく、本当の良さはユーザーには
分かってもらえているという「商品のプライド、ブランドが持つ自信」
を持って観客に訴えている点。

それは非常に長期的に見て、お客様の心を捉えるものでも
あるように感じる。

そして現存するユーザーは、世界最高にロイヤル
(アップルに忠誠心を持ってくれていて)
という「逆にお客様をほめている」言葉を使うなど、
プレゼンが上手いなーと(個人的に)思います。

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いかがでしたでしょうか?

私も最近アップル製品のファンになってしまい
製品を買いそろえてしまいましたが、

このアップルの、
ピンチをよい機会と捉えて、

自社の方針をアピールする方法は非常に
上手いと思います。

今回の騒動でアップルを嫌いになるどころか
さらに好きになる人も増えるのではないでしょうか?

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